「さよなら エルマおばあさん」(小学館)での講談社出版文化賞・小学館児童出版文化賞受賞をはじめとし、数々の賞を受賞されながら、精力的にアニマルセラピーや動物との共生による更正の試みなどにとりくんでおられるジャーナリスト/作家の大塚敦子先生の講演会が行われました。
テーマは「人の生き直しを助ける動物との絆」
大塚先生は、ジャーナリストとしてアメリカへ滞在中、虐待などで心に傷を負った子供たちの施設を取材。そのときに、それまで虐待やニグレクトの中で暮らしていたため「愛」や「慈しみ」の気持ちを知らなかった子供たちが、動物たちとのふれあいをしていくなかで笑うようになり、他人への思いやりを身につけ、やがて笑顔で施設から巣立っていく様子を目の当たりにされたそうです。
アメリカですすんでいるアニマルセラピーを日本に導入された大塚先生は、現在島根刑務所で行われている更正プログラムに参加しておられます。
この更正プログラムでは、受刑者たちが子犬を刑務所内で飼育し、パピーウォーカー(盲導犬が実際に仕事に付く前に、社会性を身につけるために家庭に預けられること)を経たあと、実際に盲導犬としての仕事につかせること、そして犬を育て、絆を深める中での受刑者たちの心の安定や更正を目的としています。
実は昨年、ニュースでも「刑務所育ちの盲導犬第一号」と大きく報道されていますが、大塚先生はこのプログラムに関わっておられる「アニマルセラピーによる更正」の日本での第一人者なのです。
講演では、実際にどのようなプログラムが行われているのか、また、島根刑務所では再犯率が減少したなど、実際の効果についても映像を交えて語ってくださいました。
講演会にはアニマルクラスの生徒や広島アニマルケア専門学校の生徒、保護者の方々、一般の方々もたくさん参加してくださいました。
興味深いお話にくわえ、刑務所育ち第1号のわんちゃん、ナッシュちゃんも会場に登場してくれました。
あっという間の2時間の講演会。
生徒たちは「アニマル関係の仕事につきたい」といういままでの夢がよりいっそう深まり、
ただ動物と触れ合うというだけでなく、動物とともにいることで誰かの役に立ちたい、という新たな未来を心に抱いたようです。
大塚敦子先生、素晴らしいお話をありがとうございました。